悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「お嬢様、奥様からお手紙でございます」
この四年の間に、ソニアもすっかり成長している。レオンティーナにトレイを差し出す姿は、養護施設で育ったとは思えないほど洗練されている。
時々、そそっかしいところが出るが、愛嬌の範囲内だと思うし、レオンティーナにとっては心許せる相手である。
そして、レオンティーナが期待していた通りに、レオンティーナの意をくみ、完璧に動いてくれる忠実な侍女となってくれた。
「ありがとう、ソニア」
銀のトレイから封筒を取り上げ、ペーパーナイフで封を切った。
側に控えているソニアは、レオンティーナが命じればすぐに動けるように、注意を払うのを怠ってはいない。
返事をすぐ書く必要があれば、筆記用具やレターセットを取り出さねばならないからだ。
「嘘でしょ!」
けれど、中身に視線をやったレオンティーナは思わず声を上げた。
「お嬢様、どうかなさいました?」
「……お母様、子供ができたんですって」
前世では、父と母は不仲であった。父は、愛人を作り、そちらに弟が生まれた。
だが、両親の仲は、今では非常に良好だ。