悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 ソニアも、レオンティーナの喜びを分かち合っている。自分のことのように喜んでくれるのがレオンティーナは嬉しかった。

「そうねぇ……お母様の部屋の近くがいいと思うわ。たしか、お母様の部屋の斜め前があいていたと思うの。そこにしましょう」

 いざという時、医師はすぐに駆け付けられた方がいいだろうという理由から、医師の部屋は母の寝室に近い位置にする。
 両親が戻ってくるまで十日ほどあるから、準備には十分な時間をとることができる。研究成果の確認は夜に回すことにし、レオンティーナは手配のために立ち上がった。


 両親の帰宅は、予定通り十日後となった。
 馬車の到着に合わせて、屋敷の前に使用人達がずらりと並び、馬車を出迎える。
 父の手を借り、馬車から降りてきた母は信頼の目を父に向けた。

(……あらやだ、お母様ってば幸せそう)

 母は、青いゆったりとしたドレスを身に着けている。身体の線が出ないドレスの上からでも、母のお腹が大きくなっているのがわかる。
 父もそんな母を気遣い、どこから見ても仲のよい夫婦そのものだ。

「おかえりなさいませ、お父様、お母様」

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