悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 レオンティーナが出迎えると、両親は交互にレオンティーナを抱きしめ、頬や額にキスをした。
 レオンティーナは喜びの表情を浮かべて、それを受け入れる。最近は慣れてきたけれど、昔はそんなことはなかった。前世でもそんなことはなかった。

「ただいま、ティーナ」
「元気そうね。あなたがしっかりやっているから安心していたわ」

 母はお腹に手をあてる。長時間にわたる馬車での移動も、大きな問題はなさそうだ。

「お父様とお母様もお元気そうでよかった――お父様は、すぐにお戻りになるのでしょう?」
「エレインが落ち着くのを見たら、ロアに戻るよ。仕事が山積みなんだ――本当は、生まれるまでここにいたいんだけどね」

 すぐに戻らねばならない父は、がっかりしているようだ。
 母の出産に合わせて休暇を取るそうで、それまでの間に山積みになっている仕事を片付けなければならないらしい。
 さらに母のあとから、医師が下りてきた。茶の簡素な衣服を身に着けた彼女は、母と同年代のように見える。
 医師らしく落ち着いた物腰で、レオンティーナの目には信頼できるように映った。 

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