悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 荷物を解くという医師を残し、レオンティーナは両親のもとへと戻る。途中すれ違った使用人に、医師のところにも飲み物と軽食を運ぶよう頼んだ。
 居間に入ると、ソニアが、ちょうど両親にお茶を出しているところだった。

「ソニアも、お茶を上手にいれられるようになったわね」

 ソニアのいれた紅茶を飲みながら、母は満足そうに微笑んだ。

「ありがとうございます、奥様」

 最初のうち、ソニアのいれるお茶はひどいものだった。
 図書館に行った帰りには、ソニアにお茶を入れるように頼んでいたけれどレオンティーナが満足する味になるまで、数か月かかった。
 母を満足させる腕になるには、そこからさらに数か月かかったのである。

「出産の頃には戻ってくるよ。心配だからね」
「心配しなくても、大丈夫なのに」

 母は、うっとりと父を見ている。

(……また、歴史が変わったというわけね)

 そんな両親を見ながらしみじみと思う。レオンティーナが生まれ変わって以来、歴史は少しずつ変わってきた。
 小さなところでは、両親の不仲は解決された。家庭は平穏になり、父は愛人を作らずに母を大切にしている。
< 172 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop