悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 前世ではレオンティーナと母が領地で生活し、父はひとりロアで生活していたけれど、今は行ったり来たりしている。
 両親と離れて育つのも珍しいことではないし、以前より家族で過ごす時間が増えたから、レオンティーナにとって今の状況は非常に満足できるものであった。
 家族の歴史が変わっただけではない。
 ヴィルヘルムはまだ皇太子に任命されていないし、レオンティーナとアンドレアスの婚約も成立していない。
 前世では若くして亡くなったケルスティンは、皇帝に一番愛されている女性として皇宮で暮らしている。互いに嫌っていたルイーザとは、親友といってもいい間柄だ。距離はあるけれど、しょっちゅう手紙のやり取りをしている。

(おおむね満足していると言っていいわね)

 皇帝の座にはまだ到達していないけれど、レオンティーナとしては現在の状況は満足すべきものであった。
 ニナ草を栽培するための研究は進んでいるし、ニナ草を見出したことによってレオンティーナの名前は皇帝に印象付けられているはずだ。

(正式に皇太子の任命をしていないってことは、陛下も迷っているってことだもの)

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