悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「……甘いわ! それに、ほくほくしていておいしい」
「そうでしょう。これなら、食べやすいと思うんですよね。私も博士に初めて食べさえてもらった時、びっくりしましたから。ルイーザ殿下。バターをつけてもおいしいですよ」

 レオンティーナは、バターの容器をルイーザに差し出した。バターの風味も加わると、ますますおいしくなる。

「……これなら、育てたいと思う者も多いのではないかな」

 味をたしかるようにゆっくりと咀嚼していたヴィルヘルムが言った。

「まだ、研究段階ですから」

 グラナック博士は、そう謙遜していたが、レオンティーナは知っている。
 レオンティーナが援助したおかげで、前世の歴史よりマレイモの流通が数年早くなることを。これだけで、前世で起こった食糧不足はいくぶん解消されるはずだ。

(……他国から食料を輸入できる体制も整えた方がいいんだけど)

 とはいえ、まだレオンティーナがそこまでは口出しできない。父に話をしておこうと思っている。
 農場の見学を終えたのち、再び馬車に乗って湖に向かう。そこは農場からさらに十五分ほど行った場所にあった。

「……素敵!」

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