悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 それぞれの席に食器を配り、視線を上げたら、ヴィルヘルムは湖に目をやっていた。
 彼の視線の先を追えば、ルイーザが湖の側で飛んだり跳ねたりしている。慌てた様子のソニアが、湖に近づいていくルイーザを引き戻していた。
 その様子が楽しそうで、思わずレオンティーナはくすりとしてしまった。

「――ルイーザはずいぶん子供っぽいな。君と同じ年なのに」
「そんなことはないと思いますけど」
「いや、レオンティーナ嬢と同じ年とは思えないよ」

 そんなことを言われても困ってしまう。

(たしかに、前世の知識がある分、大人に近いかもしれないわよね……)

 無言で視線を落としたのを、ヴィルヘルムはレオンティーナが機嫌を悪くしたと受け取ったようだった。

「ごめん、君に失礼なことを言うつもりはなかったんだ」
「そう受け取ったわけではありません」

 レオンティーナは、表情を取り繕おうとした。こんな時、本来の年齢ならどんな表情をするのが正解なのだろう。
 前世の知識があるのは今まで有利に働いてきたけれど、たまに年齢相応の振る舞いをしなければならない時、困ってしまう。

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