悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「――なぜ、君はそこまで熱心なんだ? 普通の女性はそこまでやらない。マレイモの研究なんて、今まで興味を示した人はいなかったと思う」

 どうして、ヴィルヘルムはこんなにもレオンティーナに興味を示すのだろう。
 視線を落としているから見えないはずなのに、彼がこちらをじっと見ているのを感じる。落ち着かない気分になって、レオンティーナは意味もなくバスケットのお蓋を開いたり閉じたりした。

「なぜって……聞かれても」

 そんな問いをされても返答に困る。まさか、皇位を狙っていると話すわけにもいかないし。

「――空腹は、寂しくなるから」

 考えた末、レオンティーナはそう口にした。
 前世で牢獄に入れられてからは、空腹に苦しむことが多かった。一日に一度マレイモのスープを出されれば上等という日もあった。
 ソニアが世話係となってからは、ソニアが責任をもってレオンティーナに食事を運んでくれたから、一日に二回は食べられるようになったけれど、それでも満腹になる量は与えられなかった。
 処刑の日までに、レオンティーナが死んだら困るから、命を繋ぐぎりぎりの量しか与えられなかったのである。
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