悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 レオンティーナは目を閉じた。
『あなたは食べないの? 一緒に食べましょうよ』

 そう問いかけたのは、いつだっただろう。ひとりの食事は、味気ないなんて考えることもなくなっていたのに、その時は牢にいたソニアに声をかけたのだ。
『私はお腹いっぱいだから。レオンティーナ様、食べて』

 そう返した直後に、ソニアの腹が鳴る。
 その時、いつもより量が多かったのは、彼女が自分の分をレオンティーナに回してくれたからだということを知ったのだった。

(……過去と今が違うことくらいわかってはいるわよ)

 前世の自分と今の自分が違うことを、レオンティーナは理解している。けれど、前世の空腹は、今でもレオンティーナの記憶にしっかり残っている。

「空腹が寂しい?」

 空腹を味わったことのないヴィルヘルムには、その感覚は理解しがたいもののようだった。それはしかたない。前世で空腹を味わっていなかったら、きっとレオンティーナにも理解できなかっただろう。

「ええ、空腹は寂しさを増大させるんです。そんな思いをする人は、ひとりでも少ない方がいいでしょう?」

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