悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 ルイーザがレオンティーナを挟んで、ヴィルヘルムとは反対側に座る。
 二人とも、レオンティーナを挟んで座っていることに、なんの疑問も覚えていないようだった。
 右手をヴィルヘルムが、左手をルイーザがとってくれる。ルイーザの体温は、ヴィルヘルムのものよりほんの少し高かった。

(……こうやって、手をとってくれる人がいるなんて)

 緊張からかひんやりとしていたレオンティーナの手が、二人の体温で少しずつ温かくなり始める。

「ユリウスが生まれた時のことを思い出すね」
「……お兄様は、覚えているの?」

 ユリウスというのは、ヴィルヘルムとルイーザの弟だ。ひとり年齢が離れていて、レオンティーナとルイーザの五歳下である。
年が離れていることから、前世でも今回の人生でも親しく行き来する相手ではなかった。

「もちろん、覚えているよ。ルイーザは寝てしまっていたかな」
「どんなだった?」
「父上は、そわそわしていたね。寝室に入ることを許されなかったから」
「大公は寝室に入ったのに、お父様は入らないの?」
「皇帝家と大公家ではしきたりが違うということだよ」

< 201 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop