悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
けれど、父と愛人の間に生まれた子でほとんど接点はなかった。
顔と名前は知っているけれど、それだけの相手。血は繋がっているはずなのに、とても遠い存在だった。
「レオンティーナ、もう少し近くにおいで」
父に声をかけられ、ようやくこわごわと近づく。握っている手の中に、人差し指を滑り込ませたら、驚くほど強い力で握られた。
その力を感じたとたん、込み上げてきた感情になんと名をつければいいのだろう。
「お父様、名前はもう決めたの?」
「おじい様からいただいて、ハイラムとつけようと思うよ」
「……ハイラム」
そうつぶやき、レオンティーナは言葉を失ってしまった。
ハイラム――それは、前世では異母弟に与えられた名前だった。母と離れて暮らしていた父が、愛人に産ませた息子につけた名。
祖父の名前であるのも本当のことだったから、最初に生まれた男児にその名を与えるのは不自然ではない。
「ハイラム……そう、あなたがハイラムなの」
生まれたばかりの赤子は目がよく見えないと聞いてる。
けれど、乳母の腕の中にいるハイラムは、 レオンティーナが覗き込んだとたん、ぱちりと目を見開いた。
顔と名前は知っているけれど、それだけの相手。血は繋がっているはずなのに、とても遠い存在だった。
「レオンティーナ、もう少し近くにおいで」
父に声をかけられ、ようやくこわごわと近づく。握っている手の中に、人差し指を滑り込ませたら、驚くほど強い力で握られた。
その力を感じたとたん、込み上げてきた感情になんと名をつければいいのだろう。
「お父様、名前はもう決めたの?」
「おじい様からいただいて、ハイラムとつけようと思うよ」
「……ハイラム」
そうつぶやき、レオンティーナは言葉を失ってしまった。
ハイラム――それは、前世では異母弟に与えられた名前だった。母と離れて暮らしていた父が、愛人に産ませた息子につけた名。
祖父の名前であるのも本当のことだったから、最初に生まれた男児にその名を与えるのは不自然ではない。
「ハイラム……そう、あなたがハイラムなの」
生まれたばかりの赤子は目がよく見えないと聞いてる。
けれど、乳母の腕の中にいるハイラムは、 レオンティーナが覗き込んだとたん、ぱちりと目を見開いた。