悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 今までどこにいたのか、ヴィルヘルムがアンドレアスとレオンティーナの間に割って入る。目の前に出現したヴィルヘルムの背中に、レオンティーナは安堵するのを覚えた。

(どうして、こんなに安心してしまうの)

 先ほどまで、ヴィルヘルムが会場内にいないことを苛立たしく思っていたのに、今はヴィルヘルムの背中にこんなにも安堵してしまっている。

「ごめん、レオンティーナ。父上のご命令で外出していたんだ。宿泊予定だったんだけど、君に会いたくて戻ってきてしまった」

 今のヴィルヘルムは、皇帝の信頼も厚い。皇帝直々の命令で外出していたのなら、レオンティーナも文句は言えなかった。

「悪いな、アンドレアス。レオンティーナには俺が求婚する予定なんだ。母上も、ルイーザも賛成してくれている」

 ヴィルヘルムの言葉に、会場内の空気がざわついた。

(求婚、求婚って――!)

 ヴィルヘルムの背中に庇われているレオンティーナは、彼の言葉が信じられなかった。顔がぽっと熱くなっただけではない。体中が熱くなっている。指の先までじんわりと熱を帯び、頭の中は真っ白になった。

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