悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
(この場をおさめるための言い訳よね……?)

 真意を今問うことはできなくて、そう自分の中で言い聞かせる。

「俺の求婚は断ったぞ」
「俺は、ティーナとは何年も友人だから。もちろん、ティーナの意思を大切にしたいと思っているよ」

 ヴィルヘルムがレオンティーナを愛称で呼ぶのはめったにない。レオンティーナの記憶にある中では、これが二回目だ。
 それが何を意味するのか、わからないほどレオンティーナも初心ではなかった。

(……本当に、私を……?)

 ヴィルヘルムは、レオンティーナに求婚するという。それなら、レオンティーナはどう返したらいいんだろう。
 真っ白になった頭を何とか回転させようとしている間に、舌打ちしたアンドレアスは行ってしまった。

「……ごめん」
「何がですか?」

 ヴィルヘルムの謝罪に、出てきたのはいくぶん尖った声。

「今の、嫌だったんだろう」
「嫌じゃ、ないですけど……」

 自分は何を言っているのだろう。レオンティーナ自身、自分の言葉がめちゃくちゃなのを理解していた。
 嫌じゃない、けれど素直に受け入れられない。恥ずかしいというのもある。
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