悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 いったい、どんな用があるというのだろう。レオンティーナの緊張がソニアにも伝染したらしく、ソニアの表情はこわばっている。

(……けれど)

 いよいよ、来るべきものが来たという気もする。いつかは、皇妃と向かい合わなければならなかったのだろう。

「ソニア。家に使者を出して。皇妃様にお招きされたので、少し遅くなると――そんなに時間はかからないのでしょう?」
「そのように聞いております」

 後半は馬車の外に向かって問いかけると、皇妃の侍従は、頭を垂れる。

「では、私の侍女に使いの手配をさせます。私はこのまま皇妃様のところにうかがいましょう。手配が終わったあと、侍女は馬車で待たせますが、それでいいですね?」
「はい。それでよろしいかと存じます」

 馬車を皇妃の住まい近くまで移動させ、そこからは侍従の案内で奥へと進む。
 通されたのは、皇妃が私的な客人を招くための部屋だった。
 赤を基調とした華やかな部屋ではあるが、置かれている家具は選び抜かれたものばかり。華やかでありながらも、落ち着きは失っておらず、とても過ごしやすそうな雰囲気だ。
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