悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
暗い赤の布を張ったソファに座った皇妃は、貴婦人の礼をとったレオンティーナを手招きした。
皇妃は、母と同年代のはずだ。だが、髪には白いものが混ざり、顔には深い皺が刻まれている。そのため、母よりも十ほども年長に見えた。
豪奢な衣服を身にまとい、手招きする仕草も優美で洗練されていながらも、年を重ねただけではないすごみのようなものを感じることができた。
前世の彼女との関係を思い出し、つい背が伸びた。
「そなたとは、一度ゆっくり話をしたいと思っていたのよ」
「恐れ入ります」
皇妃と対峙して、レオンティーナは背筋が冷えるのを覚えた。
この皇宮で、長年、皇帝の側にいただけのことはある。言い知れぬ彼女の威圧感に、迷うことなく頭を垂れた。
レースの扇を手にした皇妃は、単刀直入に切り出した。
「そなた、アンドレアスに嫁ぐ気はない?」
「……その件につきましては、私の一存では、なんとも申し上げられません。先日、アンドレアス殿下にありがたくもお声をかけていただきましたが、殿下にもそのようにお返事しております」
「そなたは、わかっていないのね」
皇妃は、母と同年代のはずだ。だが、髪には白いものが混ざり、顔には深い皺が刻まれている。そのため、母よりも十ほども年長に見えた。
豪奢な衣服を身にまとい、手招きする仕草も優美で洗練されていながらも、年を重ねただけではないすごみのようなものを感じることができた。
前世の彼女との関係を思い出し、つい背が伸びた。
「そなたとは、一度ゆっくり話をしたいと思っていたのよ」
「恐れ入ります」
皇妃と対峙して、レオンティーナは背筋が冷えるのを覚えた。
この皇宮で、長年、皇帝の側にいただけのことはある。言い知れぬ彼女の威圧感に、迷うことなく頭を垂れた。
レースの扇を手にした皇妃は、単刀直入に切り出した。
「そなた、アンドレアスに嫁ぐ気はない?」
「……その件につきましては、私の一存では、なんとも申し上げられません。先日、アンドレアス殿下にありがたくもお声をかけていただきましたが、殿下にもそのようにお返事しております」
「そなたは、わかっていないのね」