悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
『そなたのようなつまらない娘を妻にしたから、アンドレアスの行動は改まらない』と。
 あの時は、屈辱に唇をかみしめながら皇妃の前から退出したのだった。

「殿下には、もっとふさわしい女性がいらっしゃるでしょう――私は、バルダート領で芋の研究をするくらいしか能がありません」

 マレイモは、バルダート領から他国に輸出され始めた他、作物の不作に悩む地域で栽培が始められたところだ。
 レオンティーナの功績のひとつであり、いずれ、皇帝から再び恩賞が与えられるのではないかという噂にもなっている。
 それを理由にすれば、皇妃もこれ以上はレオンティーナにとやかく言えないだろう。そう思ったが、皇妃にはその程度では話を打ち切る理由とはならなかったようだ。

「――ヴィルヘルムならば、迷わず嫁ぐのか?」
「そ、それは」

 皇妃に正面から問われて言葉につまってしまった。
 それが、皇妃の疑いを招くということもわかっていたのに、返すことができない。

「相手がヴィルヘルム殿下であっても同じです。陛下と父の間で決まることです」

 今、自分は笑っていられるだろうか。
< 250 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop