悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
(そうよ。アンドレアスは前世で笑っていた――ヴィルヘルム様の死は、皇妃が仕組んだことだった、と)

 あれはいつのことだっただろう。
 珍しくレオンティーナと一緒に食事をしたアンドレアスは、うっかり口を滑らせたのだ。
 ヴィルヘルムを暗殺したのは皇妃の送った暗殺者だ、と。
 ヴィルヘルムの死は、病死として発表されていたから、レオンティーナもその時まで暗殺を疑いもしなかった。
 自分が皇妃という地位につけたということで満足してしまい、その先については深く追求しなかったのだ。

(もし、今でも暗殺者を利用しているのだとしたら……)

 皇族にとって都合の悪い相手を暗殺するために、暗殺術に優れた者を訓練する場があるのだという噂は昔からあった。
 レオンティーナが皇妃となった時、アンドレアスは暗殺部隊のうちのひとりとレオンティーナを引き合わせた。皇族ならば知っておくべきことだと言って。

(邪魔な人間がいたら、彼に暗殺させろと言っていたわね)

 前世のレオンティーナは、自分の邪魔をする人間を暗殺するのになんのためらいも覚えなかった。
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