悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 ルイーザともども馬車から転がり落ちるようにして降り、先導されるままに皇宮の中を突き進む。
 すれ違う使用人達が、いつもとは違うレオンティーナ達の様子に怪訝な目を向けてきたけれど、それにかまっている余裕もなかった。

「ルイーザ殿下――レオンティーナ様!」

 扉の前にいたのは、ヴィルヘルムの護衛だろうか。部屋に突入しようとするルイーザをおしとどめようとしたけれど、レオンティーナは彼に鋭い目を向けた。

「ルイーザ殿下も入室を許されないってどういうこと? ――私達は、蹴破ってでも入りますからね!」

 実際にレオンティーナやルイーザに目の前の重厚な扉を蹴破ることができるのかという点については大いに疑問が生じるところだが、レオンティーナの声は、護衛の動きを止めるには十分だった。
 皇女と大公の娘に怪我をさせるわけにはいかないと、護衛もとまどったというのもあるのだろう。
 護衛の動きがとまっている間に素早くルイーザが扉を開き、ふたりとも室内に突入した。

「――待って」

 レオンティーナは、部屋に入ったところでベッドに近づこうとするルイーザをとめた。なんだか、この部屋はおかしい。

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