悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
(……人の気配がないんだわ)
ヴィルヘルムが本当にこの部屋で床に伏しているというのであれば、室内には薬の香りが漂っていなければならないし、医師だっていなければおかしい。
けれど、ベッド周囲の垂れ幕は引かれていても、室内には誰ひとりいる気配がないのだ。
そして、床に敷かれたカーペットには血のシミと思われるものがついている。
(――まさか)
まさか、ヴィルヘルムはもう……不吉な予感に、側に置かれていたテーブルで身を支えようとした時だった。
「――君まで来るとは思っていなかったよ。レオンティーナ」
背後から聞こえてきた声に、レオンティーナは思わずそちらを振り返った。
「ヴィルヘルム様、あなた、無事で――」
「無事だとも。君が忠告してくれたんじゃないか」
「でしたら! なぜ! ルイーザ様にもそう言わなかったのです?」
ヴィルヘルムの無事を確認するのと同時に、込み上げてきたのは怒りだった。なぜ、ルイーザにまで心配をかけるのだろう。
ヴィルヘルムが本当にこの部屋で床に伏しているというのであれば、室内には薬の香りが漂っていなければならないし、医師だっていなければおかしい。
けれど、ベッド周囲の垂れ幕は引かれていても、室内には誰ひとりいる気配がないのだ。
そして、床に敷かれたカーペットには血のシミと思われるものがついている。
(――まさか)
まさか、ヴィルヘルムはもう……不吉な予感に、側に置かれていたテーブルで身を支えようとした時だった。
「――君まで来るとは思っていなかったよ。レオンティーナ」
背後から聞こえてきた声に、レオンティーナは思わずそちらを振り返った。
「ヴィルヘルム様、あなた、無事で――」
「無事だとも。君が忠告してくれたんじゃないか」
「でしたら! なぜ! ルイーザ様にもそう言わなかったのです?」
ヴィルヘルムの無事を確認するのと同時に、込み上げてきたのは怒りだった。なぜ、ルイーザにまで心配をかけるのだろう。