悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 レオンティーナの助言がなかったら、部屋の前に護衛騎士を置くところまではしたとしても、自分は寝室を抜けて別の場所で休み、室内に護衛騎士を待機させることまではしなかっただろう。

「では、私はお母様に話をしてくるわ。お母様にも、現状を報告しておく必要があるでしょう――ユリウスにも、お兄様は病気で会えないと言っておく必要があるでしょうしね」

 壁にかけられた鏡を見たルイーザは、レオンティーナを振り返った。
 兄の無事を確認した今、落ち着きを取り戻したようではあるが、まだ、いくぶん顔色は悪い。

「私、取り乱して見えているわよね?」
「そう見えます」
「それならいいわ。“取り乱したまま”、お母様のところに行ってくる」

 ルイーザが部屋を出ていき、残されたのは、レオンティーナとヴィルヘルムだけだった。ヴィルヘルムの手を取り、レオンティーナはぎゅっと握りしめた。

「――よかった」

 彼が無事でいてくれてよかった。もし、ヴィルヘルムの身に何かあったら、レオンティーナは自分を許すことができなかっただろう。

「私、ヴィルヘルム様に言わないといけないことがあるんです」

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