悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
第八章 栄光への第一歩を
ヴィルヘルムの計画は、思ったようには進行しなかった。彼が倒れたという情報を皇宮内に流したものの、怪しげな動きをする者はいなかったのだ。
ヴィルヘルムはまだ本調子ではないと称して部屋にこもっているらしいというのは、ルイーザが教えてくれた話だ。
臥せっている彼の部屋に入ることができるのは、ごく限られた者だけということになっているが、実際のところはこっそり皇宮の外に出て暗殺者の痕跡を自ら追っているらしい。
ヴィルヘルムの身代わりを務めた護衛騎士は、かなりの重傷を負わせたようで、医師のところを訪れた可能性が高い。今、怪しい怪我人を見かけなかったか医師達に聞いて回っているそうだ。
前世でアンドレアスは暗殺者に会わせてくれたが、彼らとの連絡方法なんて教えてくれなかったから、レオンティーナには打てる手はない。
そんなわけで、レオンティーナは屋敷にこもり、今、自分にできることをしようとしていた。つまり、子供達の育つ養護施設への視察や援助である。