悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 廊下の向かい側にあるのはソニアの部屋で、レオンティーナが命じればすぐに来られるように配慮されていた。
 もっとも、前世とは違い、今のレオンティーナは夜中に侍女を呼びつけるような真似はしない。
 向かい側にある自室の扉を開いたソニアは、中にレオンティーナを招き入れた。

(……あら?)

 清潔なベッド、服を収納するためのクローゼット。そして、書き物をするための机に、私物を整理したりちょっとしたものを飾ったりするための棚。
 暖炉もきちんと設けられていて、使用人の部屋としては非常に贅沢といってもいいものだった。
 だが、ここはソニアひとりの部屋のはずだった。
 ソニアはレオンティーナの隣に立っているのに、ベッドに誰か横になっている。

(――ちょっと待って。男の人……よね……?)

 髪型と、かけ布からわずかにのぞく肩のあたり。こちらから顔は見えないけれど、横たわっているのが男性であるのはすぐにわかった。
 混乱して、レオンティーナはソニアを振り返った。

「困るわ、ソニア。恋人を連れ込むのは禁止――」

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