悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～

　ソニアに幸せになってもらいたいのは事実だが、他の使用人に示しのつかない交際は困る。

「違います。彼は、ヴィルヘルム殿下を襲撃した犯人です」

　あまりな返答に、レオンティーナは目を瞬かせた。
　ヴィルヘルムを襲撃した犯人が、なぜ、ここにいるのか。いや、なぜ、彼が襲撃犯だとソニアが知っているのだろうか。

「彼の名前はロニー。私が育った養護施設で、一緒に育ちました」
「……ロニー――て、本当に？」

　思わず裏返った声を上げてしまったけれど、それもしかたないことだと思う。
　だって、ソニアが口にしたのは、前世でアンドレアスが自慢げに引き合わせてくれた暗殺者の名だった。

（まさか、嘘……そんなことって、あるの）

　こわごわとベッドに近づき、横になっている青年の顔を覗き込む。
　たしかにそこには、前世でアンドレアスに引き合わされた青年が横になっていた。
　熱があるのか、ぎゅっと目を閉じてつらそうな表情だ。汗もかいていて、衣服の襟のところが濡れている。

（私は、彼を知っている……前世で会ったことがあるわ）

　前世でアンドレアスに引きあわされた青年。彼が、そこに横になっていた。