悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～

　だから、ロニーも、施設を出た後のソニアがレオンティーナの侍女となったことは知っていたそうだ。
　ソニアの話によれば、ヴィルヘルムの暗殺に失敗したのち組織に戻ろうとしたところ殺されかけ、他に行く当てもなくここに転がり込んできたらしい。

「とりあえず、ヴィルヘルム様に報告は入れるわ」
「でもっ！　ロニーは、まだ人は殺したことがないって！　それだけはしなかったって！」
「それとこれとは関係ないのよ、ソニア。ヴィルヘルム様を殺そうとしたというのが問題なんだもの」

　血の気を失ったソニアは、がたがたと震えている。レオンティーナは、ソニアの腕に手を置いた。

「誰も殺していないというのが本当であれば、まだ彼を救うことができる。罪の償いは必要だけれど……でも、まだ殺していないのならヴィルヘルム様にお願いすればなんとかなるかもしれない」

　ロニーが、どうやって生き延びてきたのか、その苦労をレオンティーナが本当に理解することはきっとない。牢の中での生活から想像はできても、それだけだ。

「お願いします、お願いします……命だけは！」