悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 レオンティーナの足に縋りつくようにして、ソニアが命乞いをする。
 そんなソニアを見下ろしながら、レオンティーナは、前世の記憶が押し寄せてくるのを意識せずにはいられなかった。

(前世のソニアは、ロニーのことをなんと言っていたっけ……?)

 またもや、前世の記憶が思い浮かぶ。
 あの時、恋をしたことはあるのかなんて話、どちらが先に始めたのだったか、今は思い出すこともできない。
 ヴァスロアの真珠とうたわれたレオンティーナは、華やかな恋愛関係を持っていると思われていた。けれど、実際にはそんなことは一度もなかった。
 真実に愛した人には出会わなかったし、愛されたこともなかった。それを聞いたソニアが目を丸くしていたのも思い出した。
『私、ひとりだけ大切な人がいるんです――施設を出てからどこに行ったのかわからなくて、もう会うこともないんですけど』

 はにかみながらソニアが口にした相手の名前はロニー。こんな形ではあるが、今回の人生では再会できたようだ。
 庶民の間では、珍しくもない名前だ。だから、あの時のレオンティーナも気づかなかった。
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