悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 アンドレアスに引き合わされた暗殺者と、ソニアの想い人が同一人物であることに。
『馬鹿ね。何年も会っていないのに、信じてるの? 彼は、あなたのことなんてとっくに忘れているわよ』

 なんて、なぜ、あの時意地悪なことを言ってしまったのだろう。けれど、ソニアはめげなかった。
『いつか会えるって、私が信じているから大丈夫なんです』

 そんな風に、誰かを強く信じることができていたら、何か変わったのだろうか。
 最後の瞬間を迎えるまでの間、同じ気持ちを持てる相手に出会いたかったと、前世のレオンティーナは心のどこかで願わなかったか。

(……しかたないわね)

 レオンティーナはため息をついた。

「ヴィルヘルム様に話をするのは、ロニーが話せるようになってからにするわ。医師を呼ぶから、診察してもらいなさい」

 レオンティーナが呼んだのは、母がハイラムを出産した時、領地に滞在した女性医師だった。
 出産が本職ではあるが、怪我の治療だって医師の仕事だ。それに、母の出産の時、親身になってくれた彼女なら、きっと秘密を守ってくれると思った。
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