悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 男性使用人達はするすると下がっていき、レオンティーナは、ソニアに手を貸して立ち上がらせた。
 ソニアは今の今まで悲鳴を上げていたのが嘘のようにスカートの裾を払って落ち着いた様子を取り戻す。

「――は?」

 その様子にロニーは目を見開き、レオンティーナは肩をすくめた。

「ここに逃げこんだくらいだもの。あなたは、ソニアに弱いと思ったのよね!」
「騙したのかよ!」

 今のはすべて演技であった。
 レオンティーナは、ソニアを鞭で打たせるつもりなどない。

「騙される方が悪いわ! それに――私は、連れて行って鞭で打ちなさいと言っただけだもの」

 屋敷の者に協力を頼むにあたり、ソニアを部屋から連れ出そうとする役を与えたのは、使用人達の中でも特に凶悪な顔面の持ち主ばかりを選んだ。
 その方が、真実味を帯びると思ったのだ。レオンティーナの目論見は、どうやら成功したらしい。
 そして、バルダート大公家の地下にあるのは、ただのワインセラーである。

「あなたを試したというのもあったのよ。ごめんなさいね?」

 もし、ソニアが連れていかれるのを黙って見ていたとしたら。
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