悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～
　ロニーの証言を得られたところで皇宮に使いを出そうとしたけれど、それよりもヴィルヘルムが来る方が早かった。

「――レオンティーナ！」
「ヴィルヘルム様！」

　彼が押しかけてくるとは想像もしていなかったから、レオンティーナは驚いた。

「……この屋敷に、怪しい人物が逃げ込んだという証言を得た。無事か」
「私は無事ですよ。今、お話しているじゃないですか」

　それでも押しかけてきてしまうあたり、ヴィルヘルムも頭に血が上っていたらしい。

「すまない。君に何かあったらと思って」
「何もなかったわけではないんですけど」

　とレオンティーナが口にしたら、ヴィルヘルムは顔色を変えた。
　ヴィルヘルムを客間に通し、レオンティーナは事情を説明した。
　数日前屋敷に逃げ込んできたのは、ソニアの幼馴染であり、あの施設の脱走者であったこと。
　施設を出た後は、様々な犯罪組織で下働きのように使われていたこと。
　身の軽さを買われて暗殺部隊に引き取られ、ヴィルヘルムの暗殺が暗殺者としては初仕事であったこと。
　皇妃のたくらみであると証言はしたものの、証拠がなく、皇妃にたどりつくのは不可能に近いこと。
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