悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「ごめんなさい、ヴィルヘルム様。でも、これは逆に好機ではありませんか? もし、ロニーを取り戻しに来る者がいれば……そこから、暗殺を命じた人につながるかもしれません」

 レオンティーナの言葉に、ヴィルヘルムは表情を厳しくした。

「だーかーら! それが無茶だと言ったんだ! この屋敷が襲撃されたらどうする!」

 彼の大声に、レオンティーナは首をすくめるしかなかった。
 

 レオンティーナは反対したが、ロニーは皇宮に護送されることとなった。
 皇宮への道中、あえて隙を作ってみたけれど、何もないまま、皇宮内の牢に入れられることとなったそうだ。
 ロニーの命を奪われては困るから、今、彼は厳重に警戒された牢にいる。

(誰も、何も言ってこないのが怖いところよね)

 レオンティーナは、窓の外を見る。
 ロニーが護送されて五日目。いまだに、何の動きもない。皇妃の一派がレオンティーナに接触を図ってくるのではないかと思っていたけど、そんなこともなかった。

(私は、いえ、私達は、この危機を乗り越えることができるのかしら)

 レオンティーナの知っている歴史は、過去のものとなってしまった。
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