悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 レオンティーナが会場内に入るなり、貴族の令嬢達に囲まれる。

「ヴィルヘルム殿下が、襲撃されたって本当ですか?」
「そうらしいわね。私も 詳細は知らないけれど」

 レオンティーナは情報収集をするつもりでこの場に乗り込んできたのだが、彼女達もレオンティーナから情報を引き出そうとしているようだ。次から次へと話しかけてきて、逃げ出す隙がない。

「レオンティーナ様のおかげで、暗殺を未遂に終わらせることができたという話ですよ?」

 そんな話、どこから出たというのだろう。
 両親が口を滑らせるはずもない。ソニアもだ。屋敷の使用人は、全員信用できる。
 ヴィルヘルムやケルスティンが口を割るはずもないし――。

「そんなことないわ。誰かと勘違いしているのでしょう」
「レオンティーナ様は、なんでもご存じだという噂ですもの。未来を見通す力をお持ちなのでしょう」

 令嬢の言葉に、レオンティーナは扇の陰で苦笑する。

「子供の頃のことは、たまたま皇宮の図書館に入る機会が多かったから。たいしたことではありません」

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