悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 前世の記憶がよみがえったばかりの頃、皇宮の図書館に通い詰めたのは否定しない。あれがあったからこそ、レオンティーナは生きていられる。今でも。

(妙な噂が広まったものね……)

 どこの誰が、そんな噂をばらまいているというのだろう。
 やがて音楽が始まると、令嬢達はダンスに誘われ、それぞれの相手と共に散っていく。

「一曲、踊っていただけますか?」
「喜んで」

 そう声をかけてきたのは、レオンティーナと同年代の貴族の青年だ。レオンティーナは、彼の手を取った。

「ヴィルヘルム殿下は、今日はいらしていないようですね。お会いできると思っていたのですが」
「まだ、本調子ではないのかもしれませんね……私も、最近お会いできていないのです。ルイーザ様も、ヴィルヘルム様につききりになっていらっしゃるようで」

 レオンティーナに声をかけてきたのは、ヴィルヘルムの容体について探りを入れているというところか。レオンティーナとルイーザの友情についても、社交界では注目している人も多いのだ。

(ヴィルヘルム様もいらっしゃらないし――あら、あそこにいるのは、アンドレアス殿下ね)

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