悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 アンドレアスに関わるのはやめておこうとした時、レオンティーナとアンドレアスの目が合った。
 レオンティーナを見るなり、アンドレアスは唇を強く引き結んだ。それから勢いよくレオンティーナに向かって歩いてくる。

「もし、よろしければもう一曲――」

 曲が終わりかけたところで、青年はレオンティーナに誘いをかける。けれど、そこに割って入ったのは、アンドレアスだった。

「俺に代われ」

 アンドレアスに命じられては、青年もそのままレオンティーナの手を取っているわけにはいかない。焦った様子でぴょこりと頭を下げ、アンドレアスの前にレオンティーナを残して退散してしまう。

(ものすごく、気まずいんですけど……!)

 だが、アンドレアスの手を取るしかレオンティーナには選択肢は残されていなかった。

「久しぶりだな、レオンティーナ」
「アンドレアス殿下、お目にかかれて光栄です」

 ヴィルヘルムが襲撃されて以降、レオンティーナも自分の屋敷から出ることはなかった。それは、ロニーを家に匿ったり、ソニアを励ましたりと後始末に追われていたからでもある。

(……この人も、かわったのかしら)

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