悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 噂によれば、女癖の悪さはあいかわらずだ。けれど、まだ、彼も独身のまま。
 蛇ににらまれたカエルの気分で、アンドレアスにダンスに連れ出される。
 アンドレアスは、ダンスは上手だった。あくまでも表情はにこやかに、彼はレオンティーナに問いかける。

「――暗殺者を、どうして匿っていた」
「なんのことでしょう?」

 レオンティーナも、顔に微笑みを張り付けたままアンドレアスに返した。

「俺にだって直属の部下くらいいる。今、皇宮に捕らえられている暗殺者、お前の屋敷で匿われていたそうじゃないか」
「匿ったわけではありません。我が家にふらふらと逃げ込んできたのを、連行していただいたのです」

 アンドレアスに目をつけられるとは、やっかいなことになったものだ。
 以前から、彼の求婚を受けないレオンティーナを敵視していたから、これをいい機会と思ったのかもしれないけれど。

「……ふん。せいぜい帰りに気をつけろ」
「もちろん、気をつけます」

 アンドレアスの言葉には、さまざまな意味が込められているようだ。だが、今はそこにかまっている場合ではない。
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