悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～
　それだけ言うと満足したのか、アンドレアスはレオンティーナを解放してくれた。

（思っていたほど、情報を手に入れることはできなかったわね）

　結局、出てきてアンドレアスの嫌味に耐えるだけで今日は終わりになるようだ。ヴィルヘルムも姿を見せなかった。

（……今日は、皇宮に泊まらせてもらいましょ）

　皇宮内に用意されている大公家の部屋には、レオンティーナがいつ宿泊しても大丈夫なように、身の回りの品も置いてある。
　両親がこちらに泊まり込んでいる関係で、しばらくハイラムの顔も見ていない。
　弟のぷにぷにした頬をつつけば、このトゲトゲした気持ちをいくぶんやわらげることもできるかもしれない。
　部屋の方へと足をむけ、レオンティーナは違和感を覚えた。皇宮なのに、使用人がひとりもいないというのはどういうわけだ。

（……不用心ね）

　皇宮の警護は、どうなっているのだろう。広間に戻った方がいいだろうか。
　レオンティーナが、向きを変えようとした時、使用人の制服に身を包んだ男性に気が付いた。

「そこのあなた。バルダート大公家の部屋まで、付き添いをお願いできるかしら」
「かしこまりました」

< 303 / 314 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop