悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 しゅんとしているソニアに、レオンティーナは苦笑した。そこまでしゅんとされるほどのことでもないのだ。

「そうねぇ……何か方法を考えましょう。覚えてくれればそれでいいわ」

 ソニアには、ドレスに使われている材質や、どの職人の手によるものかも覚えてもらわないとならない。
 前世の記憶がたしかならば、ソニアの記憶力は問題ない。一度か二度、きちんと教えてやればすぐに覚えるはずだ。
 しばらく考えた末に、レオンティーナは口を開く。

「こうしましょう。今日の午前中は、私は暇なの。衣装室についてらっしゃい」
「かしこまりました!」

 その様子に、レオンティーナは安心する。
 ソニアがやる気を失っていなければ問題ない。大丈夫だ。


 皇宮に出仕する父を見送ると、母は手紙を書くと言って自分の部屋に戻っていった。

(今度、お友達を招待してお茶会を開くのよね)

 前世の母は、領地に引きこもっていた。だが、今の母はロアに残り、あちらこちらの貴族の女性達と親交を深めているようだ。

(お母様はしばらく出てこないだろうし、この時間を有効活用したいわよね)

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