僕の1番大切な人【リニューアル版】
雨上がりの裏切り
時計を見たら、6時少し前だった。


まだレストランには入らず、僕は、入り口前で携帯を見ていた。


雨は、もうすっかり止んでいる。


道路はまだ濡れていて、通り過ぎる車が、少し水しぶきを上げていた。


お腹は、あまり空いてないな...


姉さんは、今頃何してるかな?


急に姉さんのことが頭に浮かんだんだ。


僕は、下を向いて目を閉じた。


いつも、気が付くと、姉さんのことを考えてしまってる。


そして、数秒経って、ゆっくり顔をあげた...


『え...?』


その目の前の光景に、時が止まった。


店の前の横断歩道の向こう側に、僕は、見てはいけないものを見てしまったんだ。


『嘘だ…』


兄さん...?


そこには、兄さんと知らない女性が、手を繋いで立っていた。


見つめ合って、顔を近づけながら話している。


そして、笑い合った...


『なんでだよ…』


体が、勝手に動いた。
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