僕の1番大切な人【リニューアル版】
そして、一緒に、電車に乗った。


今日は、すごく混んでいる。


姉さんを守るように、僕が盾になった。


電車が揺れるたびに、姉さんと体が触れそうになる。


そうならないよう、必死で踏ん張った。


決して、触れないように...


電車を降りて、姉さんを送ったら、僕は、一人暮らしの自分のマンションに帰るんだ。


昨日みたいに、一緒にはいられないから...


『凌馬君、ごめんね、お店では聞きづらくて…本当は、何か相談があったんでしょ?』


『...兄さんから聞いた?』


『うん。ごめんね、凌馬君の大事な相談事、私に話させるなんて』


申し訳なさそうに、言った。


『...ううん。いいんだ。兄さんに話しても仕方ないことだから』


姉さんにも...だけど。


『もう大丈夫だから、今日は、このまま帰るね』


僕は、姉さんにそう言って、手を振った。


ありがとう...


一緒にいてくれて…


空には、相変わらず星がない。


僕は、1人になって、すごく楽しかったはずなのに、やっぱり…


また、大きなため息をついてしまった…
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