僕の1番大切な人【リニューアル版】
『凌馬君、ごめんね。お兄さんのことを苦しめてしまって』


姉さん...


嘘だろ。


なんで姉さんが謝るんだ。


『そんなこと、本当に言わないで欲しい。姉さんは何も悪くないよ、全然悪くない。悪いのは…浮気をしてる兄さんの方だよ』


僕の、精一杯の言葉。


信頼してた兄さんを悪者にすることは、本当はつらかったけど、でも…


やっぱり、兄さんは…


最低なことをしてるんだ。


『凌馬君…』


姉さんは、僕のことを、泣きそうな顔で見つめた。


『愛美さん、凌馬の言う通りですよ。子どもが出来ないから浮気をしていいなんて、それは、何の理由にもならない』


ユウも、本当に、兄さんに腹を立てているようだった。


『...二人とも優しいね。でもね、あの人も優しいのよ。子どもが出来ない体だからって、私を責めたりしないの。だから...私は、このままでいいかなって。浮気をされても、今まで、そう思って生きてきたの』
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