僕の1番大切な人【リニューアル版】
『…姉さん?』


そこには、姉さんが立っていた。


夢の中では、手が届かなかった姉さんが、今、僕の目の前にいる。


これが、現実なら、お願いだ…


もう、消えないで…


『あの人に聞いたのね、ここにいるって』


姉さんの笑顔に、明らかに寂しさを感じた。


深い寂しさを…


『ごめん、ストーカーみたいなことして』


『ストーカーって…ううん、大丈夫よ』


ほんの少し、笑って言ってくれた。


姉さんは、気丈に振る舞っているんだ…


『姉さん、ごめん、兄さんが勝手なことして。本当に兄さんが悪いと思う。でも、姉さんも我慢しないで兄さんに自分の気持ち、ぶつけたら良かったんじゃない?』


『…』


姉さんは、黙って首を横に何度も振った。


そして、言ったんだ。


『いいの、本当に…私、あの人に偉そうに言える立場じゃないし、あの人もいろいろ考えた結果だと思うの。悩んで悩んで…だから、これで良かったと思う』


って…
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