僕の1番大切な人【リニューアル版】
でも、たまらず、その場に座り込んでしまった。


この位置なら、ホテルの植え込みのおかげで、人には見られていないだろう。


僕は、声を殺して泣いた。


姉さんへの思いを、ただひたすら涙で流そうとした…


そんな簡単に、流せるわけないじゃないか…


もう、中学の頃から、ずっと姉さんだけを思い続けて来たんだから…


最後の最後まで、ダメな男だ、本当に自分が嫌になる。


『そりゃ、フラレるよ、こんなダメなやつ…』


いっぱい泣いた。


でも、泣いてたら、不思議と、姉さんへの感謝の思いが自然にあふれてきたんだ。


あっさりフラレたのに、こんな気持ちになるなんて… 本当に不思議だ。


なんか、温かい。


僕は、そのまま、フラフラと家に帰った。


きっと、兄さんと姉さんは、これから離婚の話し合いで大変なんだろう。


僕には、何も出来ない。


ただ見守るしか。


でも、仕方がないよな…
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