僕の1番大切な人【リニューアル版】
僕には、姉さんのその気持ちが、痛いほどよくわかるよ。


『うん、焦らなくていいんだよ、きっと。僕にもやっぱり、どっちか正しいかなんて、わからない。でもさ、姉さんには幸せになる権利があるんだよ。当たり前に幸せになる権利が。それに…姉さんが幸せじゃないと、僕が悲しい』


本当に、生意気だ。


今日の僕は、本当に…


『…凌馬君』


姉さんが、僕の顔を覗き込むように見て、ニヤッと笑った。


『な、何?』


『すごく立派になったね。なんだか、前よりずっと男らしくなったんじゃない?見た目も、そして、気持ちも…きっと、凌馬君にも大切な人がいるのね』


少しは、男らしくなれてる…?


本当に?


だとしたら、嬉しいけど…


『…別に、立派なんかじゃないよ…姉さんも言ってくれたから、僕も言うけど、今、付き合ってる彼女がいる。去年、会社で知り合った子なんだ』
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