さよならが言えなくなるその前に



那智さんの大きな手が



レミの素肌の背中をなぞっていく。



レミの手も



那智さんのシャツの中に触れる。



那智さんが動きをとめて



「今日は優しくできる自信ない」



そう言ったけど



「いいよ



那智さん知らないの?



レミは那智さんになら


何されてもいいんだよ。」



レミがそう言って



那智を抱きしめた。








「…送る」



タバコを吸っていた那智さんが言った。



「…うん」




レミが答える。




もうきっと



しばらく



那智さんには会えない。




言葉は出なくて。



玄関に向かう2人。



…那智の腕が



レミを引き止めた。



え?



「なつきのとこ?」



那智さんか聞く。



「え?うん


家?なつきさんのとこだよ。」



もう、何年もほんとの家には帰ってない



ママにはもう新しい彼氏がいて



レミはいらないから。



しばらく前から



レッドのマスターの妹で



2個上のなつきさんと一緒に住んでる。



「お前…



しばらく、



もぐる生活になるけど



…おれと一緒にいろよ。」



え?


…レミが、ばかだから



我慢できなくて、



那智さんに会いにきちゃうって



バレてる?



それで、一緒にいてくれるって



言ってる、の?



きょとん。って



那智を見上げる



レミの目を見つめて




「ぜったいおれが守るから」




「おれと一緒にいて。」




那智がそう言った。





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