となりの一条三兄弟!



「あまり無理はしないでくださいね」

昴さんは優しいから、平気で自分のことを犠牲にする。

さっきだって後輩の子に心配かけないように苦しい顔は見せなかったけど、私はそんな昴さんがすごく心配だ。


「ありがとう。じゃあ、お礼ついでに、ひとつだけお願いしてもいい?」

「なんですか?」

昴さんのお願いは、膝枕をしてほしいというものだった。

私みたいな色気のない膝を貸していいものか迷ったけれど、もしかしたら横になりたいのかもしれないと、私はお願いを受け入れた。


「茉莉ちゃんに膝枕してもらえるなんて贅沢だな」

昴さんの髪の毛が太ももに当たっていて、くすぐったい。もちろん私は誰かに膝枕するなんて初めてなので、ガチガチに緊張していた。

それでも、昴さんは気持ちよさそうに目を瞑っている。

いつも昴さんのことを見上げているから、見下ろしているのがヘンな感じだ。


「でも本当は、膝枕されるよりするほうが好きなんだけどね」

いつも尽くしてくれる昴さんらしい言葉だ。
 

「もし疲れたり、寄りかかりたい時はいつでも言ってくださいね。私も毎日お弁当作ってもらってるし、膝くらいいくらでも貸しますから」

「貸してくれるのは、膝だけ?」

「他にどこがあります?」

「胸も貸してくれたら嬉しいのにな」

「……もう、昴さん!」

「はは、冗談だよ」

昴さんは笑ったあと、メガネを外して大人しくなった。体力を回復させるために眠ろうとしてる。

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