となりの一条三兄弟!
私は少しでも体の熱が取れるように手で風を作った。さらさらと昴さんの前髪が揺れている。
校則とはいえ、炎天下で走らせるなんて、やりすぎだ。
なんで話してただけでグラウンドを周回させられなきゃいけないの?
熱中症にでもなって取り返しのつかないことになったら、どう責任を取るつもりなんだろうか?
だんだんとムカついてきて、自然と眉を寄せてしまう。
役員の人は会長が決めたことには逆らえないって言ってた。つまりやっぱりこのおかしな校則は全部、生徒会長である霧島禄が言い出したってことだ。
霧島くんは特別扱いされてるし、授業に出ないことも珍しくないと噂で聞いた。
生徒会長になれたのも色んなコネっぽいし、家がお金持ちだとそんなに偉いのかって話だ。
ああ、本当に腹がたつ……!
「多分、見られてるね」
「……え?」
昴さんがメガネをかけ直して、私の膝から体を起こした。
「せ、生徒会の人ですか?」
私も周りを確認してみたけど、今のところ誰もいない。
「人じゃない気配がするんだよね」
「ひ、人じゃないって……」
「まだ分からないからなんとも言えないけど、しばらくはちょっと気をつけたほうがいいかもね。色々と」
昴さんが怖い顔をするから、私もゾクッとしてしまった。