となりの一条三兄弟!
「俺を呼び捨てにするなんて、よっぽど処罰されたいらしいな」
また突き刺すような視線で、私のことを見る。
……やっぱりこの人が霧島禄。
生徒会長でおかしな校則を作ってみんなを困らせている元凶だ。
「お前、クラスと名前は?」
喋り方も偉そうで、すごくイヤなオーラを漂わせている。こんなに後退りしたくなったのは初めてかもしれない。
「2組の佐崎茉莉、だけど」
いくら生徒会長でも一応同級生なので、敬語は使いたくなかった。だって、なんか負けたような気分になるし。
「佐崎茉莉?」
ピクリと眉が動いたのを私は見逃さない。
「ああ、最近あの三兄弟と親しいという噂の」
妙に引っ掛かるような言い方をしていた。
たしかに一条三兄弟はなにもしていなくても目立っているけど、その三人のことをわざわざ言う必要はない。
生徒たちを縛って王様気分でいるくせに、ちゃんと関心の中に三兄弟がいるんだと思ったら、なんとなく違和感を感じた。
「今日、昴さんがグラウンドを走らされたこと。それも会長の……いや、霧島くんの命令?」
だったらどうした、という感じでジリジリと霧島くんは私との距離を詰めてくる。