となりの一条三兄弟!


こうやって自然と彼が気を許してくれてることが嬉しい。

しかも隣に座れることなんて滅多にないし、椅子と椅子の距離が近くて肩が当たりそうだった。

「め、珍しいね!聖が図書室にくるなんて!」

私語厳禁なのにけっこう大きめの声が出てしまった。


「ああ、教室うるさかったし、それにお前が図書室に……」

「え?」

「いや、べつに」


な、なになに?

たしかに景ちゃんと話してた時、聖は自分の席にいたから私の声は聞こえてたと思うけど……。

もしかして、私が図書室に行くって言ったから聖も来たってこと?

そう考えてもいいの、かな。……マズい。顔がにやけてしまいそうだ。


カチカチとシャーペンの音がやけに響いて聞こえる。窓から射しこむ夕焼けが眩しくて、余計に心をソワソワとさせていた。

思えばこんな風に心が揺れたことなんて、今までなかった。

ドキドキしたりウズウズしたりキュンとしたり、息の仕方を忘れるぐらい私は聖とふたりきりだとおかしくなる。


――〝っていうか茉莉こそ、一条くんのことが好きでしょ?〟

こんな時に限って、景ちゃんに言われた言葉が頭に浮かぶ。


好き……なのかな。私は聖のこと。

チラッと横顔を確認した。

< 116 / 206 >

この作品をシェア

pagetop