となりの一条三兄弟!
こうやって自然と彼が気を許してくれてることが嬉しい。
しかも隣に座れることなんて滅多にないし、椅子と椅子の距離が近くて肩が当たりそうだった。
「め、珍しいね!聖が図書室にくるなんて!」
私語厳禁なのにけっこう大きめの声が出てしまった。
「ああ、教室うるさかったし、それにお前が図書室に……」
「え?」
「いや、べつに」
な、なになに?
たしかに景ちゃんと話してた時、聖は自分の席にいたから私の声は聞こえてたと思うけど……。
もしかして、私が図書室に行くって言ったから聖も来たってこと?
そう考えてもいいの、かな。……マズい。顔がにやけてしまいそうだ。
カチカチとシャーペンの音がやけに響いて聞こえる。窓から射しこむ夕焼けが眩しくて、余計に心をソワソワとさせていた。
思えばこんな風に心が揺れたことなんて、今までなかった。
ドキドキしたりウズウズしたりキュンとしたり、息の仕方を忘れるぐらい私は聖とふたりきりだとおかしくなる。
――〝っていうか茉莉こそ、一条くんのことが好きでしょ?〟
こんな時に限って、景ちゃんに言われた言葉が頭に浮かぶ。
好き……なのかな。私は聖のこと。
チラッと横顔を確認した。