となりの一条三兄弟!
気持ちだけを置いてきぼりにされてしまった私は、レポートがはかどるわけもなくて……。
「これ職員室に出しに行くけど」
聖が終わっても、私はまだ半分しか進んでいなかった。
「私はまだ終わらないから先に行っていいよ」
……はあ。私のほうが早く図書室に来たのに、なにをしてるんだか。
っていうか、さっきのはなんだったんだろう。
本当に髪の毛にゴミがついてただけ?
私はこんなにも悶々としてるのに、聖だけなんにもなかったみたいに涼しい顔してズルい。
「じゃあ、出し終わってもお前のこと待ってるから、一緒に帰ろうよ」
「へ?」
「もうすぐ暗くなりそうだし、隣だから同じ家に帰るようなもんだろ」
不器用な言葉には、ちゃんと優しさも見え隠れしている。
私は単純じゃない。こんなことで舞い上がったりしないと頭では思っていても……。
「す、すぐ終わらせるから!」
聖の一言で、レポートをやるスピードが速くなった。前言撤回。私ってビックリするぐらい単純らしい。
聖はフッと口元を上げて、そのまま職員室にレポートを提出しにいった。
自分でも、聖の言葉に一喜一憂しすぎだと思う。でも心は正直というか、どうにもならないから厄介だ。