となりの一条三兄弟!
「それよりお前さ……」
聖がなにかを言いかけた時、私の部屋のドアがノックされた。
「茉莉?大きな声がしたけど大丈夫?」
お、お母さん……!
「なにかあったのか?心配だから中に……」
お父さんまで!?
今ふたりが部屋に入ってきたらマズイ。だってだって、聖がいるんだよ!
いくらお隣さんでベランダを飛び越えられる距離だとしても、お母さんたちにその考え方はない。
「だ、大丈夫、大丈夫!む……虫!虫が入ってきてビックリしちゃっただけ!」
私は慌てて聖のことをカーテンの裏側に押し込んだ。
「え、ちょ、押すなって」
「しーー!」
必死で隠したくても、聖の背と体が大きすぎてムリっぽい。
「本当に大丈夫なの?」
確認するようにまたお母さんの声がした。
「う、うん!大丈夫!もう寝るところだからさ!」
「ちゃんと窓だけは戸締りして寝るんだぞ」
「分かってる!お父さんお母さん、おやすみなさい!」
次第にふたつの足音が階段を下がっていく。1階に戻ったのを確認して、とりあえず深呼吸をした。