となりの一条三兄弟!


***


そして週末。あれから聖は風邪をこじらせてしまったみたいで、食欲もないらしい。

なんでも市販の薬を飲んだら余計に悪化してしまったんだとか。人間だけに効く薬だと副作用が出る場合があると昴さんが教えてくれた。

ちなみに、そんな頼りになる昴さんは大学説明会で朝から出掛けてしまった。

ちなみに頼りにならない晶くんは女の子とデート中。学校で話せないぶん、休日でのお誘いがすごいようだ。


……聖はひとりで大丈夫かな。

きっと聖は部屋で寝込んでいるはずなので、自分の部屋の窓から様子をうかがってみる。……が、もちろん中は見えない。

聖が風邪をひいたのはやっぱり私の責任だし、苦しんでると分かってて知らん顔はできない。


「こ、聖!」

とりあえずベランダ越しで名前を呼んでみたけれど反応はない。というか……きっと届いていない。


「聖、大丈夫?」

次に近所迷惑にならない程度で声を出してみたけど、通行人の声のほうが大きくてダメ。

こんなことをしてたって聖の風邪が治るわけじゃないし、昴さんや晶くんが帰ってくるのも待てない。

考えて考えて悩んだ末に、私は覚悟を決めて、ベランダの手すりに足をかけた。

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