となりの一条三兄弟!
聖はじっと私のことを見ていた。サラサラとした黒髪の隙間から見える瞳の色は、いつもの聖のものじゃない。
それはバイオレットのような青紫色。
暗闇の中で獲物を狙うような、まさに狼の目をしていた。
ベッドの横のテーブルには薬の空箱が置いてある。
……もしかしたら副作用でこうなってしまってるのかもしれない。
「聖!私だよ?しっかりして!」
目は開いているのに、意識が定まっていないような行動。
私の声も聞こえてないみたいだし、どうしたら……。そんなことを考えてる間に今度は首筋を舐められた。
「……っ」
頭がチカチカするような感覚。甘噛みをされながらも、決して歯は立てない。
聖は何度も何度も唇を私の首筋を這わせてきた。
……もう、ぜんぶが熱い。
私の心臓はバクバクと破壊寸前のところまできている。聖の体を押してもビクともしない。
かと言って蹴り飛ばすほど拒否もできなくて、すごく優しく触るから私もヘンな気持ちになってくる。
気づくと聖の手が洋服の中に入ってきた。指先はすでに私の胸の下辺りにある。
「こ、聖っ、待って……」
瞳の色が濃くなるたびに聖の髪色が変化している。それは銀色になっては黒に戻りの繰り返し。
やっぱり聖は我を失っている。
聖の指の侵入に抗いながら、私は瞳の奥にいる〝本当の聖〟に呼び掛けた。